スター技術者、スター研究者養成計画

理系離れを防ぐには、スター技術者、スター研究者を養成することが考えられます。

歌がうまい歌手は、多くの人が知っています。
面白い芸や小話ができる芸能人は、多くの人が知っています。
ホームランやヒットをたくさん打った野球選手は、多くの人が知っています。
ゴールをたくさん決めたサッカー選手も、多くの人が知っています。

しかし、誰もが知っているような新製品を作った技術者、研究者は、誰も知らないのではないでしょうか。あの有名なA製品を作った技術者、研究者を知っていますか?

なぜ知られていないのでしょうか。それは、スター技術者、スター研究者の養成がなされていないからではないでしょうか。

子供たちが、B選手やC歌手に憧れて、将来の進路を決めたという話はよく聞くものです。このように子供たちに分かりやすい目標のスター技術者、スター研究者を養成することは子供に夢を与えるでしょう。

子供たちが技術者、研究者に興味を持つには、将来の夢が必要でしょう。

有名なスター技術者や、スター研究者が多く出てくると、理系に夢が膨らみ、理系離れは少しは改善するでしょう。

もっとも、理系離れの根本的な解消には、理系の総合的な地位の向上が必要でしょう。

スター技術者、スター研究者で夢を持たせて、子供たちの目を理系に向けるだけでは、問題の解決にならないことは言うまでもありません。


I.スター研究者、スター技術者の必要性

1.研究の細分化と技術の専門分化

 科学技術が進歩するにつれて、技術者、研究者の給料と生涯年収が下がっていく危険を述べました。

 理系離れが深刻になっています。理系離れを止めるために、理系に進む人に夢を与えないといけないでしょう。

 そのためには、まず研究の成果で夢を与えることが考えられます。たとえば、ドラえもんは、多くの夢を子供たちに与えました。

 しかし、21世紀になっても、ドラえもんの世界は実現しません。

 研究はますます細分化され、技術は専門分化が進み、一人の研究者、技術者ができる分野はどんどん狭くなっていきます。

 人々の理科離れも、科学技術が専門分化して遠いところに行ってしまったという諦めが背景にあるでしょう。

 子供たちに分かりやすい夢を与えるためには、スター研究者、スター技術者という分かりやすい目標が必要でしょう。

2.スター技術者、スター研究者は可能か

 優れた技術を開発した技術者や、優れた研究成果を出した研究者は、存在します。

 本人の希望があれば、スター技術者、スター研究者として、子供たちに夢を与える役目を果たしてもらうのはどうでしょうか。

 たとえば、スター技術者、スター研究者をもっとテレビに出演させたり、新聞で特集を組むなどが考えられます。

 問題は、優れた技術者、研究者には、個性の強い人、変わった人が圧倒的に多いことでしょう。

 そういう人が個性をあらわにするのをそのままテレビにうつすと、理系の人は不快感を感じ、同じ理系なのに分裂してしまうかもしれません。

  理系は思うでしょう。理系の研究者なんかより、芸能人の方がずっと好感が持てると。

 当たり前です。芸能人は厳しい訓練を積んでいるその道のプロだからです。

 そこで、スター技術者、スター研究者のプロデュースには、専門のスタッフを充てる必要があるでしょう。

 また、強い個性こそ大事なのであると美化していくことも重要でしょう。

 あらゆる手段を使って、スター技術者、スター研究者をプロデュースし、テレビ映りを良くすることが重要でしょう。

 そして、子供たちが、スター技術者、スター研究者を見て、「自分も将来はああなりたい」と思うようにするのです。 

3.スター技術者、スター研究者は、理系離れを防止するか

 スター技術者、スター研究者を見た子供たちは、将来の夢と目標を与えられ、少しは理系離れが防げるかもしれません。

 しかし、スター技術者、スター研究者をプロデュースしても、理系の地位が低ければ、理系離れの抜本的な解決にはならないでしょう。

 スター技術者、スター研究者で理系離れを防止し、安く理系を使おう、という発想で、スター技術者、スター研究者を用いるのは違うでしょう。

 そうではなく、理系の総合的な処遇を改善する中で、理系に夢を与える一要素として、スター技術者、スター研究者を養成するということでしょう。

II.スター技術者、スター研究者の養成方法

1.応募を受け付ける(現在検討中)

 まずは、スター技術者、スター研究者の候補者の応募を受け付けることになるでしょう。

 理工系.comでは、スター技術者、スター研究者養成計画の応募を受け付けるかどうかについて検討中です。

  予備調査を行なっておりますので、ご興味のあられる方は、理工系.comの「登録申請」ボタンからお知らせください(通信文に使えます)。

 以下、現時点で考えたアイディアを書きます。

2.選考について

 スター技術者、スター研究者の選考は困難を極めるでしょう。

 研究分野、技術分野等が多岐にわたるので、理工系.comの関連サイトの読者の方に選考をお願いするのが一案です。

 たとえば、スター技術者、スター研究者の応募資格を、ホームページを持っている人に限定します。

 そして、ホームページにリンクを貼り、投票ボタンをつけます。

 理工系.com の関連サイトの読者に、本物の技術、研究をしている人に投票してもらいます。

 この際に、地味でも本格派の人を選ぶようにします

 ただ、テレビ映りや、マスコミ受けの要素も必要かもしれません。

3.表彰について

 投票により、スター技術者、スター研究者を選びます。

 そして、ホームページ上で、スター技術者、スター研究者を表彰します。

 理工系.com は非営利であり、賞金については現時点ではあてがありません。もっとも、協賛企業を募ることは考えられます。

4.マスコミへの売り出しについて

 ホームページで広報を行ない、表彰された技術者、研究者をマスコミが取り上げてくれるように働きかけることになるでしょう。

III.理系離れは、食い止められるのか

1.スター技術者、スター研究者は抜本的な解決にはならない

 やはり、理系の総合的な施策をしないと、スター技術者、スター研究者だけではだめでしょう。

2.抜本的な解決に向けて

 理系の需要増大策、供給削減策(ただし日本の科学技術力を弱める危険に注意)が必要でしょう。

 たとえば、ノーベル賞が、基礎科学の研究者の地位を高めていることに異論はないでしょう。

 日本は、ものすごい資金力を持っています。日本は、世界の第2の資金力を有する団体と言ってもよいでしょう。

 日本は、ノーベル財団をはるかに超える資金を投入して、もっと多くの賞を作ることができます。

 しかし、そのような動きは出てきません。予算の使い方としては、建物を作る方がうまみがあるからでしょう。

IV.理系の連帯

 日本は、科学技術立国を標榜しています。しかし、起こっていることは理系離れです。矛盾というほかないでしょう。

 理系離れを止めるために、スター技術者、スター研究者は一つの考えです。

 科学技術立国は、日本全体の利益になるだけではなく、世界全体の利益になることです。

 理系離れを止める運動は、「技術者、研究者の自分勝手な欲望 」に基づく運動ではないのです。

 文系の人も、理系離れを止めることによって、日本の地位を高め、大きな利益を得ることができるのです。

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